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11月, 2017の投稿を表示しています

コンデンサーの話し

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コンデンサー… なんかキャンディーみたいでいっぱい持ってると 幸せな気持ちになる… ギターのトーンに600VのBumble bee(クマンバチかと思ったらマルハナバチだそうです) を取り付けると音がよくなるという話を耳にしますが、電気的には変わりません。 先日、米国で有名なアンプビルダーへ 「自社で作ったCAPをギターにつけてるけど何が違うの?」とメッセージを入れたら 「音的には変わりはない!」との返事でした。  まあ、コンデンサーの世界で実用的な48Vと600V、 同じ容量のコンデンサー、音的にはどう違うの? 同じ容量だけどオイルコンとポリ、もしくはメタライズド音的には どんな違いがあるの? 明確な答えを出している人はいませんが、以下個人的な意見として 1. 電源部のコンデンサーは容量が大きい、耐圧があると   低音の出方と音の透明感に違いが出ると思っています。     オーディオの電源とか音の太いギターアンプを見ると   共通して大きなコンデンサーと大きなトランスを使っていることで   お分かりいただけると思います。 2. ギターのオイルコン神話はちょっと疑問があり   耐圧の差やコンデンサー自体の許容差がトーンボリュームと   合体してフィルターの利きが付け替える前と違うため   よい音に聞こえているように思います。 3. 音というのは実は見た目のイメージと合致している部分があり、   たとえば三角波、のこぎり波はギザギザしたイメージ   サイン波は丸いイメージ… 波形がまさにその通りです。   コンデンサーもセラミックはなんかパリッとすっきり(だからストラト…)   オイルコンはしっとりしていそう(だからギブソンのハムバッキング…)   意外と間違っていないかもしれません。  2次元のグラフで容量だけ見ていると違いは出ないかもしれませんが 3次元的に減衰時間や電荷の放出を周波数ごとに見ることができたら 音の違いを解明できるかもしれません。

ペダルの個体差2

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先日のボリュームポッドの誤差による ペダルの個体差について続きです。 ポッドは基本的に台湾アルファ社の16mmを Mouser(少ししか作らない人にはちょっと敷居が高い)か 国内の電気部品ショップから購入しています。 前回購入したロットの同じ乗数が30ケほど手元にあるので 同じロッド、乗数のポッド個体差を調べてみました。 30ケ調べるまでもありませんでした… 前回、ポッドの許容差は20%とお伝えしましたが、 10ケ調べる前に 868KΩと1,230KΩすぐに出ました~ (PODの抵抗値は両端の端子間で測ります) その差、362KΩ… オペアンプの復帰抵抗を3.6KΩにしたら、立派に100倍の 増幅ができるくらいの誤差です。(理論上ね!) でも、ここがオーディオというか音の面白いところ つまみの位置は一緒でないにしても、美味しい音の出るポイントは きちんと再現されるんです。 特にAカーブを使用すると7時から12時までの間で 歪み初めの細かい調整(間違っていなければ500Kでも1Mでも 立ち上がりは似た曲線)ができるので問題ないです。 「800K,900K,1M,1,2Mの違いはどう解決するの?」 という問いに対してお答えします。 通常、ゲインには500KΩを使用して、強くしたいときとか シングルコイルには1MΩを使用します。 でも、歪みの後半は波形がつぶれてしまい音がグシャグシャに なってしまうので、高抵抗だから得をするということはありません! 800KΩ  損をした 1,200KΩ 得をした 上のようなな図式は電気回路上ありません。 どちらかというとこういうバラツキは迷惑ですね~(笑)

ケースの穴加工は結構大変です。

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今日は時間が取れたので先日仕入れたケースの穴加工をしました。 機材がないとケースの加工というのが非常に厄介で バッチというか、時期というか…気分というか… 今まで何十台とエフェクターを作ってきましたが 結構、穴位置がずれてしまいます。 これはいろいろと理由があるのですが、 標準ともいえるハモンドのエフェクターケースを見ると、実は真四角ではなく 上面に向かって細くなっているんです。しかもコーナーがR(角が落ちている) つまり加工部(上面)の正確な寸法と原点が手作業では取りづらいのです。  そこで今回からShun DriveとUltimate Over Driveを標準化して 加工原点が取りやすいように設計をしました。 そして、下穴加工を裏面からとることで穴位置の再現性をアップし 均一なケース穴加工ができるように考えました。 (この方法はまだ見たことないぞー) そしてこだわっているのが、穴は小さめにあけ 基本的にリーマーで部品と現合します。 音とかにあまり関係ないんだけど、 皆さんフットスイッチの切替え音も雑音に乗るって知ってましたか? それからよく歪みのダイオードを筐体内で引き回してしている ペダルを見ますが、裏ぶたを開けてこのダイオードやオペアンプを 手で触ると音が変わるのをご存知ですか? (疑似的なアースで高音が落ちるかな!?) だから、間接的だけど穴一つ一つリーマーでグリグリと現合しています。 ちなみに写真右下の入出力のジャック 同じスイッチクラフトですが モノとステレオでは穴径がビミョーに違うんです。 新設計はフットスイッチとLEDを一緒にしてしまったので 穴径が大きくなりリーマーが日本になってしまいました。 フットスイッチ、電源、LEDを下側へ配置しノイズの影響を極力減らしました。   またフットスイッチとコントロールノブの位置を離すことで、 踏み込んだ時の誤作動を避けるように工夫しています。

ペダルの個体差

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ボリュームの話し 皆さんは同じペダルを2つ並べた時、同じ音がすると思いますか? たぶん、傾向は同じですが全く同じ音はしないと思います。 それは部品の誤差からくるものです。 例えばボリュームポット…  一般的に使用される Alpha社の 16mmポットは誤差20%で規格されています。 簡単に言うと1MΩのポットだったら800KΩから1.2MΩが規格内 その差400Kオームです。 ここまで極端な差はありませんが これだけ差があると同じ位置で全く同じ音が出ることは難しいと思います。 選別すれば?とか言われそうですが、この辺は厳密にぴったりした乗数でなくとも 聴覚上あまり違いは感じないかもしれません。 ボリュームにクリックのついているタイプで各ポジションが どのくらいの倍率になっているか?  気になったのでサンプリングしてみました。 500KΩAカーブは疑似的に作ったのでこれが正しいかどうか検証が必要ですが、 Aカーブは12時以降の抵抗値が大きく変わっています。 Bカーブは12時でほぼ中間の乗数となっています。 聴覚上はAカーブ(Audio Taperと呼ばれている)のほうが滑らかな歪みの増減に聞こえます。 今回の実験でAカーブは7時から12時まで500Kオームも1MΩも 大きな違いはなく、12以降に乗数が増えてることがわかります。 オーバードライブやディストーションのゲインに Aカーブを使うと歪みの調整がしやすくなり Bカーブを使うと歪みが早い段階から現れてくるようになります。 ボリュームに Aカーブを使用するととても滑らかな音量の立ち上がりとなります。 Bカーブを使用すると聴覚上12時の位置でフルボリュームに近い音になると思います。 以前、あるペダルが同じ回路なのに出音が大きい!という現象があり 数週間悩んだ結果、ボリュームにBカーブを使用しているのだと 推測でき安心して眠れるようになったことがあります。 (単に出力の立ち上がりが早かっただけなんです…) 製作する立場からすると一つ一つ全く同じ位置で同じ音を 理想としているのですがポット以外にも誤差の要素が大きく なんとも悩ましいです。  でも、外せない部分(電

Ultimate Over Drive

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最近、開発したまだ世の中にはない(全くないとは言えないですが) 新しい発想のペダルがU.O.D. (Ultimate Over Drive)です。 開発の基本は3PDTを使ったスルーバイパスは音が劣化するので 良質のバッファーを開発してほしいという、 名古屋のギタリスト塩ボンのリクエストから始まっています。 音の要素って何だろう?と長い期間考えて 強化するべき部品を選定、回路はシンプルだけど音をよくするための 配線や取り回しを考え、スイッチングノイズも極力なくすことを目標にしました。 このペダルはバッファーとODが直列につながっています。 歪みの作り方は3つあります。    1. バッファーだけでアンプをブーストする。    2. OD回路でダイオードクリッピングさせる    3. バッファーでOD回路をブーストさせる バッファーとODの出力には個別のボリュームがありますので 歪ませた時とクリーン時の音量差を自在に調節できます。 このペダルは太いクリーンサウンドと歪みの境目をうまく使いこなしたい ギタリストにぴったりのペダルです。 写真はプロトタイプですが製品版が完成したらアップします。

Shun Drive

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"Shun Drive" は菊田さんにブルースギターの講師をお願いしていた頃、 何か恩返しがしたいという気持ちから製作を始めました。 イメージは ”ギグやライブに出かけるときにギターとペダル1つあればOK" 音に元気のないアンプも蘇る!  そんなことを頭に浮かべて一番最初に作ったのが NEN DRIVEでした。 初代(2007年)は弁当箱みたいな大きなハモンドケースに納めてお渡ししましたが 流石に大きかったので、もっとコンパクト化ということで ハモンド1590BBサイズまで小さくしました。 初期の頃の菊田さんの足元です。 上のペダルを小型化したものです。  下のペダルはBluesuplex(2009年)と呼び、このペダルに採用した "Shape"コントロールが現在まで採用されている特徴的な機能です。 また、Bluesuplexという名前を2009年から好んで使用するようになりました。 どちらかというとペダルの名前ではなく組織の名前として使っています。  この当時まで大きなオーディオ用の部品をふんだんに使っていたので基板が大きく これ以上のコンパクト化が難しく、部品と回路を見直し1590Bの深胴サイズへ 落ち着きましたが、この時もっと歪みが欲しいということで"SHAPE"機能を 活用した新しい回路(2009年)を作り直して現在に至っています。 ”SHAPE"機能を簡単に説明すると、 4弦から6弦の歪みを抑え123弦の音を強調させる機能です。 ブルースの達人の音をよく聞くと… 歪んでないんですね! でも、クランチはしている! そんな歪みとクリーンの境目を 簡単に調節できる機能です。  この機能をうまく使うとギター側のボリュームとピックアップの 切り替えだけで、クリーンからリードの歪みまで手元でコントロールできるようになります。 数年前から菊田さんのバックアップ用にさらに小型化(1590B標準)、 現在はノイズ面の改良や配線を効率化するために 2018年1月を目標に基板部は変更せずに新しい ShunDriveを開発しています。

菊田俊介氏との出会い

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Shun Driveの始まりはここから… ギターは趣味で弾くけど演奏活動しているわけでもない… 米国の長い赴任もいつ終わることやら… そんな生活をシカゴで送っていたころ、住むとこドットコムという シカゴの情報誌と菊田さんのプロダクション主催で Chicago South Side Blues Tourが開催されました。 2005年ですから今から12年前の話しです。 シカゴサウスサイドはシカゴに住む親戚から「Indiana Garyから シカゴのダウンタウンまでの湖沿いでは車が止まっても絶対に降りるな!」と 言われており、一度も行ったことがありませんでした。 最初は興味半分で参加したサウスサイドツアーですが、 菊田さんがいなかったら実現しなかった 本物のブルース体験ができた素晴らしいツアーでした。 移動中、菊田さんにいろいろお話を伺って、お別れするころには ブルースギターの講師をしていただけることになり、 今までお付き合いをさせて頂いています。 ペダルが完成するにはまだ少し話の続きがありますので次回にお話しします。